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長い間仕事をしてくると、時として人から「どうやってハリウッドの仕事についたんですか?」とか、「私もやりたいので、どうやったらいいのか教えてください!」などと聞かれることがある。私も念願叶ってユニオンのメンバーになり、この仕事を始めた頃は、本当にみんなどうやってこのビジネスにブレークしたのだろうと興味津々だったので、いろいろ周りの友達に聞いたことがある。これは何年も経った今も同じで(笑)、新しい若い人たちが、まだユニオンメンバーにはなれなくても、「小間使い」(PA, Production Assistant)として入ってきた時には、「どうやってこの仕事を見つけたの?」と聞いては彼らの頑張りの過程を聞いては楽しんでいる。

 

さて、ユニオンにめでたく加入できた様々な人達に色々聞いて分かったのは、このハリウッドビジネスに辿り着くには、みんな一人一人特有のストーリーがあると言うことだった。誰の話を聞いてもとにかく全く違っていて面白い。だから「こうすればビジネスに入れますよ」と言うような方程式は無い。ある人はラッキーにもすぐにブレークインしてユニオンに加入できたのに、ある人はどんなに頑張ってもユニオンに入るのに何年も何年もかかったり、果ては入れなかったり。ハリウッドビジネスはとにかく全くフェアーにはできていない。

 

それでも、いろいろな友達の話を聞けば聞く程分かったのは、ある一定の共通点は確実にあるということだ。また、特にアメリカ人以外の人で「ハリウッドで仕事がしたいんです!」と言う人達には、必ずクリアーしなければならない最低必須条件と言うものがある。

 

と言うわけで、今回は、一般論ながら、日本人で、もしハリウッドで仕事がしたいのならこれだけはクリアーして欲しいと言う点についてのお役立ち情報!

 

ハリウッドで仕事をするなら:

1)英語ができること

2)就労のできるビザを持っていること。最近はトランプ大統領のメチャクチャな方針で、外国人違法労働者に対する取り締まりが厳しくなっている。これはバイデン新大統領になってもそれほど変わるとは思えない。アメリカには日本のような、「情状酌量」と言うことは一切無い。「人の国で働く」と言うことは厳しいことなのだと言う点を十分理解すること

3)仕事のない時期(特に駆け出しの時期)も生活して行ける様に十分なお金があること

4)ユニオンのメンバーとして加入すること。この「加入する」と言うのがいろいろ条件があってまた大変なのだが、メンバーでなければソニー、ディズニー、パラマウント、ワーナーブラザーズのようなメジャースタジオや、今やこうしたメジャースタジオを追い越しつつあるネットフリックス、アップル、アマゾンなどのケーブル配信会社による「ユニオンの仕事」は一切できない。Art Department のユニオンは Art Directors Guild(略してADG)。ADGに加入することは決して不可能では無いが、外国人はまず上述の2番が引っかかるので、これをどうクリアーするかは自分でリサーチが必要。なお、ユニオンとは会社では無く、簡単に言えば、メンバー登録をするだけの所で、あなたの仕事を探してはくれない。たとえユニオンのメンバーになっても、自分の仕事は全て自分で探すしか無いと言うことを肝に銘じること。

5)2番ができない場合、モグリでノンユニオンの会社に勤めることも可能だろうが、これはあなた自身が決めることですね。モグリでノンユニオンの仕事をし続けるのか、正式にユニオンのメンバーになってメジャーの仕事をするのか。

6)Art Departmentで働くには、技術的には、コンピューターの知識が不可欠。2Dだけでなく、3Dも問題なくできることは必須。但し、ソフトの選択は自分の好きなソフトでオーケー。また、Microsoft Office Excel Wordが使えることも必要。

 

とここまで書くと、いかにも物凄く大変そうに聞こえるけれど大丈夫。実際には毎年必ず何人もの人達がブレイクしているのだから、決して不可能なことでは無いですよ。私が教えている映画学校、American Film Institute (略して AFI)の学生達も、来年の6月には卒業して、そこから四苦八苦しながらもやがては大半の人がブレイクできるのだから、「俺にも、私にも出来る!」でしょう?

 

どうぞ夢を遂げるために頑張ってください!