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気がつけば2019年ももう1月が終わり、2月はバレンタインデーの月!バレンタインデーが日本とアメリカでどんなに違うかは遥か昔にビックリした経験がある。日本ではこの日は想いを寄せる男性に女性が告白できる日(まあ、義理チョコもあるけれど)。ところがアメリカは男性が女性に想いを告白するなり、今カノに再度愛を確認するなり、ワイフに愛を確認するなり。。。とにかくお花から始まって、プレゼントや、素敵なディナーへお連れするなど、男性がはっきり愛を表現しなきゃ男じゃないと言ってもいいくらい大変な日なのだ。もう1月末ごろから、テレビ、ネット、雑誌、街のそこら中のお店がこぞって、「(彼女へ愛を表現するのに)このギフトを贈りましょう!」、「彼女が泣いて喜ぶこのロマンチックなレストランへ!」、「どこよりも素晴らしいこの大きな花束を!」等々。とにかくバレンタインデーへのアクションを取らなかったら彼女から大文句が出ること必至。消費大国アメリカは、とにかくこれでもか、これでもかと言うように宣伝に溢れ、男達は半ば強迫観念にかられながら(笑)、とにかく花を買いにひたすら走る。が、やはりズボラな男達もいて、バレンタインデー当日の夕方には、顔を引きつらせた彼等が土壇場で花を探してウロウロする光景もよく見た。花屋さんには「もう全て売りつくしました」と言われ、後は売れ残りの花しかないスーパーへ行くしかない。でも、女性はちゃんと見てるよ〜、立派な花束をもらうか、安い花束で済まされるか(笑)。というわけで、お花屋さんは一年の収入の大半をこのバレンタインデーと母の日(お母さんを忘れちゃいけませんよ!)で稼ぐという。

 

こんなバレンタインデー商戦真っ只中の2月初めに、 フローリストをしている友達に久し振りにバッタリ会った。後ちょっとでバレンタインデーなので、「どう?超忙しいでしょう?」と聞いたら、彼女の答えは意外だった。「そうね、いつもなら死ぬほど忙しい時だけど、今年はバレンタインデーの仕事するのやめたの!」 ビックリした私は、「どうしたの?ビジネスやめたの?何かあったの?」すると、彼女「ビジネスは続けるけど、バレンタインデーで血眼になって働くのはやめたの。っていうのも、バレンタインデーの週が夫のバケーションの週と重なってね。いつもだったらきっと、『私は仕事で忙しいから一人で行ってらっしゃい!』って言っただろうけど、もうそうしたくないって気が付いたの。バレンタインデーで確かにお金は入るけれど、夫と過ごす時間の方がお金より遥かに大事だものね!常連のお客さんにもそう説明したら分かってくれたわ。」とニコニコして言った彼女。本当にその笑顔が魅力的だった。私はそれを聞いてとても嬉しかった。

 

と言うのも。。。ハリウッドのビジネスが彼女の状況と酷似していたから。 つまり、「自分の時間と仕事とのバランスをどうやって取るのか」は、ハリウッドで生き残る戦いをしながら誰もが抱える永遠の課題だ。勿論これはどんなビジネスにも当てはまるだろうけれど。

 

誰もがフリーで仕事をしているハリウッドではとにかく一つ一つの仕事を自分で探さなければならない。有名人ならエージェントが付いているけれど、たとえエージェントがいようと、究極的には自分で仕事探しをしなきゃいけない。しかも、ビジネスのカラクリは至って簡単で、「供給が需要を永遠に上回るビジネス」。つまり、 仕事を探して世界中からやって来る人の数に対して、映画やテレビの仕事の数は常に限られている。だから、どこまで行っても、雇う側(映画スタジオや、今ではネットフリックスなどのネット配信会社)の買い手市場のビジネスなのだ。

 

と言うわけで、私達は仕事のある時と無い時のアップダウンの生活をひたすら繰り返す。そんな環境にどっぷり漬かっていると、一つ仕事を終えるたびに、あるいは一つの仕事が終わりに差し掛かると、「さあ、次の仕事はどこだ〜?」と走り出す人が殆どだ。それが悪いとは決して言わない。みんな生活がかかっているのだから。そして、このアップダウンを続けていると、もうその昔の映画「ロード オブ ザ リング」の超悪役のゴラムが指輪に取り憑かれていたように、「仕事〜!仕事〜!」と念仏を唱え続けるようになってしまう。そして、果ては、「俺は、私は、すごい映画やってんだ〜!忙しいんだ、大変なことやってんだ〜!」と、完全な自己チューになって周りが見えなくなってしまう。私もそういう時期があったし(笑)、そういう人達も随分見てきた。

 

競争が激しいから、キャリアを始めた頃には、そういう「仕事一筋」の時期があって当たり前だと思うし、必要なことだとも思う。しかし。。。、どこかで「いったい自分の人生で本当に大切なことは何なのか?」ということも考えないと、後で必ず虚しくなる。

 

だから、自分の時間と仕事のバランスが崩れてきたらそれに気付けるようになりたいし、その努力もしてきた。「ロード オブ ザ リング」のゴラムのようにはなりたくないからね。人生最後にはお金より、仕事より、自分の時間と人生が何よりも大切!

 

前述のフローリストの友達のように、ある時「私にはこれが大切なんだ!」と気付いてかつ行動できたら、人生少しラクになる!

 

そんなことを考えつつ。。。Happy Valentine’s Day!